古酒ウィスキーは、どのように保管すべきか。

古酒ウィスキーは、どのように保管すべきか。

1.古酒ウィスキーは、どのように保管すべきか。

20年から、半世紀以上前にボトリングされた古酒ウィスキーは、その希少性ゆえに開栓までに長く保管する事が少なくありません。古酒ウィスキーは、ウィスキーを嗜む愛好家の中でもごく一部のマニア層だけがのめり込む領域であるため、古酒ウィスキーに関連する情報も少なく、信頼できる情報の獲得が容易ですありません。

古酒ウィスキーの保管方法に関する情報も様々な意見が飛び交う状況でありますが、大きく下記のような2つの見解があります。

① 古酒ウィスキーのコルク栓は、なるべくウィスキーに触れさせないようにしてコルク栓の劣化を防ぐべきである。

:ウィスキーは、ワインなどコルク栓を使う他の酒類に比べてアルコール度数が高いために、コルク栓の劣化も早く進みます。そのために普段ウィスキーを長期保管するときは、ワインの保管法と違ってボトルを立てて保管するように言われることが多いです。そのために、古酒ウィスキーの場合でもコルク栓の更なる劣化を防ぐためにボトルを立てて保管するように勧められることが多いです。

② 古酒ウィスキーは、未開封であっても定期的にボトルを逆さまにしてコルク栓を濡らしてあげるべきである。

:ウィスキーの場合、アルコール度数の高いウィスキーの特性上、基本的にはコルク栓の劣化を防ぐためにボトルを立てて保管する事が多いです。しかし、ウィスキーのボトルを立てっぱなしにしておくとコルク栓が乾燥しすぎてやせ細ってしまう問題があります。コルク栓がやせ細ってしまうと、ボトルの密閉状態が緩くなり、ウィスキーの漏れや蒸発による劣化を招きかねないとも言われます。そのために古酒ウィスキーはたまにコルク栓を濡らしてあげることを勧められることがあります。


2.結局、どちらの保管法が正しいのか。

こちらは、私が購入して保管していた Bell`s Royal Reserve Scotch Whisky 20年で、1980年代に日本で流通していたウィスキーです。購入した当時は外見上なにも問題は見られず、コルク栓も緩くなっていませんでした。その後、未開封のコルク栓の上からパラフィルムを巻いて1年半あまり冷暗所に立てて保管していました。

その後、いざ飲もうとしてパラフィルムを剥がしてみると、何かがおかしいです。コルク栓のキャップシールから劣化が激しく、白い粉を吹くような状態でした。当然折れるだろうと思いながらコルク栓を引き抜いてみたら、コルク栓は抵抗なくスッと抜けてしまいました。上記の画像はそのときのコルク栓の様子を写したものです。

コルク栓の上からパラフィルムを何重にも頑丈に巻いておいたおかげでウィスキーの劣化はなかったようですが、これ以上長く保管することはできないコルク栓の状態でした。密閉されたボトルの中だったので、ボトル内部で蒸発する水分だけでもコルク栓が乾き切ることはないだろうと思っていたのに大誤算でした。

このような事例からもわかるように、古酒ウィスキーを立てて保管するとコルク栓が乾燥による劣化が進み、ボトルの密閉状態を維持することができなくなることが分かります。そのために結局は、可能であれば古酒ウィスキーは定期的(おそらく2~3か月ごと)に逆さまにして10秒ほどコルク栓を十分に濡らしてあげたほうがいいと判断しました。


3.コルク栓はなぜ瘦せ細るのか。

こちらは合成樹脂でできた食器洗い用のスポンジです。左の画像は未使用の新品、右側の画像は一度水に濡らしてから乾かしたものです。スポンジを濡らすことで、乾くときはスポンジ内部の隙間を潰しながら縮み、体積が小さくなっていきます。

ウィスキーのコルク栓にもこれと似たようなことが起こります。ウィスキーに長く濡れていたコルク栓はボトルを立てて保管する間にコルク内部の隙間を潰しながら縮み、ひどくやせ細っていきます。

一方で、コルク栓がウィスキーに濡れたことはあっても、繰り返してどっぷりウィスキーに浸からないと、ウィスキーを長らく立てて保管していてもコルク栓がひどく瘦せ細ることがないこともあります。

 

つまり、ウィスキーの蒸発量がごくわずかで、コルク栓の状態が良好であろうと推測できる古酒ウィスキーの場合はコルク栓をあまり濡らさずに立てて保管してもよい。しかし、一定量の蒸発が見られる古酒ウィスキーの場合はコルク栓の状態が悪いと推測したうえで、定期的に濡らしてあげたほうが長く保管するには適しているかもしれません。

 

なかなかややこしい古酒ウィスキーの保管方法ですが、ボトルごとの状態を適時確認しながら上手に管理・保管していくといいですね。皆様が古酒ウィスキーを愉しむ上で、この情報が為になればと思います。

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