1983年当時日本で流通していたオールドボトルウィスキーについて

1983年当時日本で流通していたオールドボトルウィスキーについて

こんにちは、アンティークリカーの店主です。

今回は1983年当時日本で流通していたウィスキーの情報を共有します。この資料は1982年から1983年に日本で流通していた各種酒の情報をまとめたもので、1983年に講談社から発刊したものです。ウィスキーの他に、ワインやコニャックなどのブレンディ、ビールなども紹介されていますが、ウィスキーの情報のみ一部抜粋して下記に紹介します。

この書籍で紹介しているすべてのウィスキーは1983年に日本で流通していたものと思われますが、必ずしも1983年頃にボトリングおよび出荷されたものではないようです。ウィスキーの一覧を見る限り1970年代に生産されたものも掲載されているように見受けられます。

当時の日本は高度経済成長期であって高級ウィスキーの輸入も活発でしたが、世界的にはウィスキーの人気は高くなかったようです。そのために1980年代にも1970年代以前に生産されていたウィスキーも消費しきれず、そのまま流通していたようです。

上記のウィスキーの中ではロイヤルロッホナガー12年(ROYAL LOCHNAGAR 12Y)からリンクウッド12年(LINK WOOD 12Y)、モートラック12年(MORTLACH 12Y)、ハイランドパーク21年と12年(HIGHLANDPARK 21Y, 12Y)が見られます。写真を見るだけで笑みが浮かぶ美味しいウィスキーたちです。

特にモートラック12年は、当時としては非常に珍しくシングルモルトウィスキーとしてボトリングしたもので、上品なオールドシェリーが楽しめられる美味しいウィスキーです。また、モートラック12年ほどではありませんが、ハイランドパークやリンクウッド、ロッホナガーもバランスの良いオールドシェリーが楽しめられる完成度の高いウィスキーです。

個人的に、ノッカンドウー12年(KNOCKKANDO 12Y)はキャラクターが薄くてあまりおいしいとは思えません。ノッカンドウーウィスキーを買うのなら1970年代にボトリングされたスクリューキャップバージョンのものをお勧めします。

不朽の名作、マッカラン12年(MACALLAN 12Y)は当時の12年ものウィスキーとしても高価な1万5000円で売られていました。この時代のマッカラン12年は現行品の18年を軽く超えるパフォーマンスを見せてくれるので、非常に欲しくなるウィスキーでもあります。

今では非常に高額で取引されているタリスカー12年(TALISKER 12Y)が当時では1万円で売られていたことをみると、まさに古き良き時代だったな、と思ってしまいます。

その他にもトマティン10年(TOMATIN 10Y)もつい欲が出る美味しいウィスキーなのですが、日本や米国向けに流通していたトマティン10年は欧州などで流通していた40%よりも3%高い43%でボトリングされ、一段高いパフォーマンスを見せてくれます。

閉鎖蒸留所のグレネスク12年(GLENESK 12Y)やホワイトホース時代のグレンエルギン12年(GLEN ELGIN 12Y)当時としては珍しく47%といった高いアルコール度数でボトリングされたグレンデュラン12年(GLEN DULLAN)、フルーティーでトロピカルさも感じられるグレンドロナック12年(GLEN DRONACH 12Y)、46%といった高いアルコール度数でボトリングされたダフタウン8年(DUFF TOWN 8Y)など、美味なウイスキーの並びです。

特に度数の高いグレンデュラン12年のパフォーマンスは格別なパフォーマンスを見せてくれるので個人的にかなり好きなウィスキーです。ダフタウン8年は最初に46%で発売されていましたが、後に43%に薄まり、最終的に40%に薄められましたが、やはり46%バージョンが最もパフォーマンスがよかったです。

こちらはボウモア(BOWMORE)と、スプリングバンク(SPRING BANK)ウィスキーです。写真のボウモアはバイセンテナリー29年とデラックスのようですが、どれも素晴らしく美味しいオールドボウモアです。ボウモアデラックス(BOWMORE DELUX)は1970年代後半に発売されたものですが、スクリューキャップ仕様なので蒸発による劣化が少なくてほとんどのボトルが素晴らしいコンディションを保っています。

アーガイル(ARGYLL)ウィスキーは、珍しくもスプリングバンクの名前を出さずにボトリングされたシングルモルトウィスキースプリングバンクです。当時の1980年代前半には特定の蒸留所の名前を表記せずに発売されたウィスキーも少なくなく、そのクオリティも高い場合が多かったです。このアーガイルウィスキーの中では豪華旅客船クィーンエリザベス2号(Queen Elizabeth 2)向けにボトリングされたQE2が49%に近い高めのアルコール度数でボトリングされたために、現在までも良好なコンディションを維持している場合も多くてお勧めです。

上記のウィスキーの中からは、ブナハビン(今では‘ブナハーブン‘、BUNNAHABHAIN)ウィスキーが特にお勧めです。開栓後2週間から1か月でウィスキーの香味が開き、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれます。

有名蒸留所のダルモア12年(DALMORE 12Y)にも興味が湧きますが、近頃の希少性と価格相場にしてはパフォーマンスが弱く、このボトルの後に発売されたトールボトルのほうをお勧めしたいです。

サントリー社の山崎(YAMAZAKI)ウイスキーも1984年に新発売されていて、1983年のジャパニーズウイスキーはブレンデットウイスキーが主流でした。この時期の有名なウイスキーとしては、写真に映っているサントリー・ザ・ウイスキー(SUNTORY THE WHISKY)やサントリーインペリアル(SUNTORY IMPERIAL)、サントリーローヤル60`(SUNTORY ROYAL 60`)でした。

1983年のジャパニーズウイスキーとしてはサントリーのウイスキー以外にニッカ(NIKKA)社から発売されたこのようなウイスキーもありました。この中ではスーパー・ニッカ(SUPER NIKKA)が有名ですが、個人的には陶器ボトルで発売されたニッカ・鶴(NIKKA TSURU)をお勧めしたいです。

1970年代から1980年代にかけて最も人気を集めた高級ウィスキーの一つに、ジョニーウォーカー(JOHNNY WALKER)がありました。特にジョニーウォーカーブラックラベル(JOHNNY WALKER BLACK LABEL)は当時もシングルモルトウィスキーに負けない価格設定で売られていました。

ジョニーウォーカーウィスキーはカデュー(CARDHU)ウィスキーをベースにタリスカー(TALISKER)ウィスキーやクライヌリッシュ(CLYNELISH)ウィスキーなど、今でも大変人気で希少なウィスキーがキーモルトウイスキーとして使われ、その深い味わいと完成度には頷けます。

ブレンデットを含めたスコッチウイスキーの中に最も有名なウィスキーは、おそらくバランタイン(Ballantine's)ウィスキーだろうと思います。そもそも1983年当時は12年を超過するウィスキーも少なかったのですが、バランタインウィスキーの場合は30年ものを含めて多数のウィスキーを発売していました。当時のバランタイン30年の価格は8万円と、非常に高価な贅沢品として流通していました。

こちらはトマティンディスティラリー(TOMATIN DISTILLERY)によるブレンデットウィスキーです。個性が薄まりやすいブレンデットウィスキーですが、これらのブレンデットウィスキーは忠実な麦の旨さに程よいスモーキーさが際立った個性豊かなウィスキーです。

この中でもトマティンゴールドラベルは日本限定品として1970年代にトマティンディスティラリーの社長が自ら特別にブレンドしたもので非常に完成度が高いウィスキーです。また、トマティン12年は、トマティンゴールドラベルの発売10周年を記念して発売されました。ブレンデットスコッチウィスキーの中では特にお勧めしたいオールドボトルウィスキーです。

アンバサダー(AMBASSADOR)ウィスキーは、1969年から日本に流通したスコッチブレンデットウィスキーで、25年までの長期熟成まで揃えた高級ウィスキーです。アンバサダーウィスキーは、スキャパ(Scapa)やグレン・スコシア(Glen Scotia)のモルトウィスキーが主要な構成原酒として含まれていた可能性が高いようです。これらのモルト原酒は、アンバサダーの軽やかでバランスの取れた風味に寄与していたと考えられます。

シーバスブラザーズのローヤルサルート(ROYAL SALUTE)は、バランタインウィスキーと肩を並べる最高レベルのスコッチブレンデットウィスキーとして知られています。当時、21年以上熟成した原酒でブレンドされ、4万5000円といった非常に高い価格で売られていました。ローヤルサルート以外でも、シーバスリーガルのシリーズも25年ものまでの長期熟成の高級ウィスキーとして売られていました。

ローガン(LOGAN)やホワイトホース(WHITE HORSE)、ウシュクベ(USQUAEBACH)など有名で人気なブレンデットウィスキーが並んでいて、どれも完成度の高いブレンデットウィスキーです。その中でも、グレネスク(GLENESK)ウィスキーがキーモルトとして使われたバット69(VAT 69)と、そのバット69のプレミアムバージョンで16年以上の熟成原酒で作られたリザーブ(VAT 69 RESERVE)をお勧めしたいです。

以上、オールドボトルウィスキーに関する資料を見ながら簡単ながら状況を共有しました。皆さんのウィスキーライフの参考になればと思います。

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