1985年当時の日本で流通していたウィスキーと当時の価格について

1985年当時の日本で流通していたウィスキーと当時の価格について

こんにちは、アンティークリカーの店主です。私も皆さんと同様にウイスキーの古酒が好きな愛好家の一人ですが、ウイスキーの古酒を幅広く調べていると正体不明なウイスキーに遭遇することがよくあります。そのような古酒の中には、現在取引される価格にしては非常に良いパフォーマンスを見せてくれる中々の掘り出し物もあるので、まるでお宝探しをしているかのような楽しさがあります。

そのようなお宝ウイスキーを見つけるには、発売当時のお値段や商品説明などの情報を探してみるのが良いのですが、古酒ウイスキーが流通していた1960年代から1990年代はインターネットにウイスキーの情報が残されるような時代ではありませんでした。そのために古酒ウイスキーの情報は大変希少であり、長い歴史と広いマーケットがあったスコッチの古酒ウィスキーよりもジャパニーズ古酒ウイスキーの情報が少ない気がします。

下記では、1980年代初頭に流通したジャパニーズウイスキーの発売当時の情報を共有します。当時の販売価格を比較してみることで、ウイスキーの作り手が考えた各ウイスキーのレベルについても推測することができます。

SUNTORY THE WHISKY / サントリー・ザ・ウイスキー(50,000円)

同社の歴史的蓄積と技術の総力を結集してつくられた超高級品。160万樽を越す多数のモルト原酒から厳選し、ブレンドを終えるまで半年もかかっていたとのこと。

SUNTORY 1899 / サントリー一八九九(30,000円)

日本初のウイスキーはサントリーの前身である寿屋が1899年に京都・山崎に蒸留所を創設したことから始まり、それから60周年を記念して生産された限定品。

 

SUNTORY IMPERIAL/ サントリー・インペリアル(15,000円)

東京オリンピックを記念して1964年に発売し、当時では超高額の1万円のウイスキーとして話題を集めていた。ボトルは日本のカガミクリスタルが製造していたが、上記資料にはボヘミアグラスの手吹きクリスタルと記載があるのが不思議。

SUNTORY PURE MALT WHISKU YAMAZAKI / サントリー・ピュアモルト山崎(10,000円)

当時では珍しい山崎モルト原酒100%の新製品。山崎ウイスキーの原点である。現行品に比べて味や香りが非常に濃く、熟成感が強いのが特長。

 

SUNTORY ROYAL / サントリー・ローヤル (丸瓶4,500円、角瓶 5,000円、樽 20,000円)

サントリーの前身である寿屋の創業60周年を記念して1960年に発売。創業者の鳥居信治郎が技と経験のすべてを注いだといわれ、膨大な数の樽から厳選されたモルト原酒を巧みにブレンドした上品で美しい味わいは鳥居の最高傑作とも評される。ちなみにこの樽型ボトル(1800ml)は実際の樽ではないのでオーク樽のように内部で熟成が進むことはない。

 

SUNTORY KAKU / サントリー角(2,750円)

1937年の発売当時には「サントリーウイスキー12年」として正式に発売。その後、いつしか「角瓶」と呼ばれるようになり、その愛称が正式名称になったおもしろい経緯がある。

SUNTORY 21 / サントリー21 (2,330円)

21世紀に向けて突き進むサントリー社の勢いと魂を表すネーミングとのこと。アルコール度数を40%に抑えて軽やかな淡いが女性にぴったりな味わい。フランスの天然スパークリングウォーターのペリエとの組み合わせが最高とのこと。

 

SUNTORY OLD / サントリー・オールド(ダルマ瓶 3,170円、樽型ボトル 3,300円、牛歳ボトル 5,000円)

通称「ダルマ」または「タヌキ」と呼ばれ、和食にも相性の良いウイスキー。最初の売り出しは1940年で、1950年に再発売となった。構成原酒には山崎蒸留所のシェリー樽熟成モルト原酒が多く使われていて、お湯割りやソーダ割にしても風味が損なわれないとの高い評価を受けるジャパニーズウイスキー。

 

MILD NIKKA / マイルド・ニッカ

ライトな味わいが流行っていた時代に合わせてニッカが1983年に新発売したソフトに振り切ったウイスキー。ブレンディング後にさらに樽熟成する再貯蔵法を用いてマイルドの極限を追求したとのこと。

WHITE OAK RESERVE

2回蒸留の後、8年間熟成させたピュアモルトだけを使い、香り高くフィニッシュの長い名酒に仕上がっているとのこと。

 

SUPER NIKKA / スーパー・ニッカ(クリスタル丸瓶 3,570円、白牛陶器ボトル 5,000円、名画陶器ボトル 5,000円)

1934年に竹鶴政孝によって北海道に大日本果汁(ニッカの前身)が設立され、後に日本のウイスキーメーカーとして急成長したニッカ。このスーパーニッカが日本でのファン層を急拡大するようになったきっかけとされる。

NIKKA TSURU / ニッカ鶴(15,000円)

1976年に発売。ニッカの技術を集大成させたプレステージ・ウイスキー。ニッカの創業者竹鶴政孝の名前から「鶴」を冠したニッカの最高傑作と言われる。

NIKKA FORTUNE `80 / ニッカ・フォーチュン`80(10,000円)

1981年に発売されたウイスキーで、マイルドさが特徴。

NIKKA G&G / ニッカG&G黒瓶(3,020円)、ニッカG&G白瓶(3,170円)

ウイスキーの原点ともいえるスコットランドのウイスキーをブレンディングに利用することで本物のウイスキーを追求した逸品。黒瓶はローランドモルトを使ってマイルド&スムーズなキャラクターを作り、白瓶はハイランドモルトを使って重厚な風味を引き出しているそう。

NIKKA PURE MALT BLACK & RED / ニッカ・ピュアモルト・ブラックラベル&レッドラベル

モルト原酒100%で作られた新製品。構成原酒は公開されていないもののブラックラベルは余市ウイスキーとハイランドモルトなどがブレンディングされ、レッドラベルは宮城峡ウイスキーとローランドウイスキーがブレンディングされたとの噂がある。ブラックラベルは重厚な味わいで、レッドラベルは軽やかでフローラルな味わいが特徴で、この2つのウイスキーをブレンディングして自分の好みに合った新たなブレンディングウイスキーを作って楽しむような仕掛けをしていた。

 

OCEAN KARUIZAWA / オーシャン軽井沢(15,000円)

1976年、国産で初めての特級シングル・モルト・ウイスキーが限定販売された。軽井沢地域は霧湿度や寒冷な気温など、ウイスキーづくりに最適な環境とされる。オーク樽の香りが世界の一流ウイスキーに肩を並べるとの評価。この時代には珍しく、ストレートでの飲用をお勧めしている。

OCEAN ASAMA / オーシャン浅間(10,000円)

オーシャン・軽井沢に次ぐ最高級ブレンデットウイスキー。年間3万本の限定生産ウイスキーである。

 

OCEAN STATUS / オーシャン・ステイタス(5,000円)

「軽井沢」、「浅間」の血統を継いで長期熟成を経た軽井沢モルトウイスキーを使ってブレンディングされている。コクとまろやかさのバランスが取れた逸品であり、リッチな大人のイメージともいえる高級ジャパニーズウイスキー。

OCEAN SPECIAL OLD / オーシャン・スペシャル・オールド(3,170円)

1965年に発売された、オーシャンウイスキーの中で最もポピュラーなもの。

 

以上、1980年代の代表的なジャパニーズウイスキーについて紹介しました。是非とも古酒ウイスキー選びの参考にしていただきたいです。

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