1980年代流通のスプリングバンク(SPRINGBANK)ペアシェイプボトル(Pear Shape Bottle、洋ナシ型ボトル)のジェネレーション判別法

1980年代流通のスプリングバンク(SPRINGBANK)ペアシェイプボトル(Pear Shape Bottle、洋ナシ型ボトル)のジェネレーション判別法

1980年代、経済的活況に沸く日本市場には数多くのスコッチウイスキーが輸入されました。その中でも当時リリースされたスプリングバンクは、今なおコレクターから絶大な支持を受ける伝説的なオールドボトルです。特にその独特な形状から、「ペアシェイプ(洋梨型)ボトル」という愛称で親しまれています。

最も知名度が高いのは「8年熟成・43%」のボトルですが、これも1980年代を通じて2度のデザイン変更を経て、大きく3つの世代に分類されます。一般的に、初期の世代ほど原酒の完成度が高く、豊かな風味を備えていると評価されています。

一見すると見分けがつきにくいこれらの世代区分ですが、ポイントさえ押さえれば判別は非常に簡単です。今回は、1980年代の日本市場で流通した「スプリングバンク8年 ペアシェイプボトル」の確実な見分け方を、簡潔にまとめてご紹介します。


1. 第1世代:1970年代後半〜1980年代初頭に流通

《スプリングバンク8年 ウイスキー特級、750ml、43%、第1世代》

1970年代後半から1980年代初頭にかけて日本市場へ初めて上陸したこのボトルは、80年代流通品における記念すべき第一世代にあたります。

当時の背景を感じさせる非常に興味深い特徴として、本来1989年以前のボトルに義務付けられていた「ウイスキー特級」の表記がボトル自体に存在しません。これは輸出時の準備が整っていなかったためか、ボトル本体ではなく専用箱に「特級シール」を貼付するという、初期流通品ならではの独特な形態が取られていました。また、この時期の箱はボトルに吸い付くようなタイトで小ぶりなサイズに設計されており、後の世代に見られる装飾的で大ぶりなデザインとは一線を画す、質実剛健な趣を湛えています。

味わいの面においても、1980年代のペアシェイプボトルの中でこの第一世代は群を抜いた熟成感とバランスを誇り、後続の世代よりも完成度が高いことは疑いようがありません。その真骨頂は、開栓から約3ヶ月間にわたって繰り広げられるドラマチックな風味の変遷にあります。抜栓直後のモルティーで軽やかなキャラクターは、空気に触れて2週間から1ヶ月ほど経つと、オールドボトル特有の「乾いた草」を思わせる力強い芳香へと進化します。さらに2ヶ月を過ぎる頃には、奥底から軽やかなシェリーのニュアンスが鮮やかに立ち上り、一瓶を通じて刻々と表情を変えていく、まさに「時間の魔法」を体現した至高のウィスキーと言えるでしょう。


2. 第2世代:1980年代半ばに流通

《スプリングバンク8年 ウイスキー特級、750ml、43%、第2世代》

1980年代半ばに入ると、上記画像のようにネック部分に「ウイスキー特級」の証紙(シール)が貼られ始めます。当初、この特級マークは別途シールとして作られてボトルに貼られていましたが、その後はウィスキー特級の記載が業務フローに完全に組み込まれたからかラベル自体に印刷されるようになりました。おそらく、1970年代後半から厳格化された規定により特級の記載が必要になったことで、後に業務効率を考慮して、ラベルに直接印刷する形式に変更されたものと思われます。

なお、このボトルのスクリューキャップを覆っているキャップシールが破損しているボトルがほとんどですが、実際に触ってみるとすぐにボロボロと崩れてしまいます。長い歳月の間に乾燥して脆くなってしまったのでしょう。よくあることなので、シールのダメージはあまり気にせずに購入しても良いと思います。


3. 第3世代:1980年代後半に流通

《スプリングバンク8年 ウイスキー特級、750ml、43%、第3世代》

1980年代後半に入ると、スプリングバンクのラベルデザインには大きな転換期が訪れます。全体的な意匠が一新されましたが、最も象徴的な変化は、それまでネックラベルに記されていた「ウイスキー特級」の表記が、メインラベル内へと統合されたことにあります。これは、輸出実務の定着やデザインの合理化を反映した、この世代ならではの大きな特徴です。その他にも、熟成年数表記の数字8が赤色になったことや、スプリングバンク蒸留所のマークがついた金色のメダルが付属するようにもなりました。

この時期のボトルも、スプリングバンクが持つ唯一無二の個性を色濃く残してはいますが、初期の第1世代や第2世代と比較すると、原酒の厚みや全体の完成度において、どうしても一歩譲る印象を拭えません。オールドボトルの醍醐味である「圧倒的な熟成感」を求めるのであれば、1980年代初頭から半ばまでの個体を優先的に選ぶのが、愛好家としての賢明な判断と言えるでしょう。


また、本稿で紹介した8年熟成以外にも、ペアシェイプ・ボトルにはスクリューキャップやコルクキャップ仕様、さらには異なる熟成年数のバリエーションが数多く存在します。現在は世界的な需要によって価格が驚異的な高騰を見せ、実際に口にできる機会は極めて稀なものとなりつつあります。しかし、その奥深く、そして多様なラインナップの数々は、今なお世界中のコレクターを惹きつけて止まない、特別な魅力を放ち続けています。機会があればぜひ試してみてください。

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