牧 勇吉 傑作 染付金彩蜻蛉花紋水注 手のひらサイズの洋酒用ウォータードロッパー、ウィスキードロッパー #175
牧 勇吉 傑作 染付金彩蜻蛉花紋水注 手のひらサイズの洋酒用ウォータードロッパー、ウィスキードロッパー #175
近代陶芸の帝王・板谷波山氏の高弟として、師の美学を最も忠実に、かつ独自の感性で継承した巨匠、牧勇吉(まき ゆうきち、1916-1998)氏による「染付金彩蜻蛉花紋水注」をご紹介します。本作は本来、書道における「水滴」として制作された手のひらサイズの小品ですが、当店ではこれを、高濃度なウイスキーの香りと風味を劇的に開かせるための「究極のウォータードロッパー」として再定義いたします。牧勇吉氏は、1951年と1953年に日展特選を重ね、後に勲四等瑞宝章を受章した、戦後日本陶芸界の正統を歩んだ名匠です。彼の作品が放つ気品は、単なる技法の巧みさだけではなく、師・波山から受け継いだ「陶磁器を宝石のように扱う」という精神的な深みから生じています。
本作の見どころは、深い静寂を湛えた「染付」の青と、そこに鮮やかに灯る「金彩」の対比にあります。まず、呉須(コバルト)を用いて描かれた花紋と、その上を軽やかに舞う蜻蛉(とんぼ)の意匠に目を向けてください。蜻蛉は古来より「勝虫(かつむし)」と呼ばれ、決して後退しないその姿勢から、武士や文人に愛された吉祥文様です。この極小の空間に描かれた蜻蛉の羽の一枚一枚、花の芯に至るまで、牧勇吉は細密な筆致を走らせていますが、そこには師譲りの「彩泥(さいでい)」的な質感が息づいています。土の粒子を極限まで細かく管理し、焼成温度のわずかな差異を見極めることで、染付の青を沈ませ、金彩を浮き立たせるという二律背反する色彩設計を完璧に成し遂げています。
技術的な観点から本作を分析すると、その制作難易度は通常の茶器の比ではありません。染付を焼き付けた後の本焼成後、さらに低温で金を焼き付けるという「多段階焼成」が不可欠ですが、これほど小さな水注の場合、肉厚が薄いために熱の伝わりが急激で、窯の中での破損や歪みが頻発します。さらに、注ぎ口のキレや水の滴下量の微調整には、長年の経験に裏打ちされた高度な成形技術が求められます。牧勇吉氏は、日展審査員を歴任するほどのアカデミックな技術力を持ちながらも、こうした手のひらサイズの道具に対しても、大作と同じ、あるいはそれ以上の緻密な情熱を注ぎ込みました。
当店当ギャラリーが本作をウイスキーの相棒として提案するのは、その卓越した「感触」ゆえです。板谷波山氏が追求した、シルクのようにしっとりとした磁肌の質感は、牧勇吉氏の作品にも色濃く反映されています。指先に吸い付くような滑らかな触り心地は、熟成されたスピリッツの余韻を味わう静寂な時間において、所有者の五感を優しく刺激します。琥珀色の液体に、この美しい水注から一滴、二滴と水を落とすとき、器に描かれた金彩が照明を反射し、グラスの中の小宇宙を祝福するかのような輝きを放ちます。それは単なる加水という行為を、日本の伝統美とスコットランドの蒸留技術が交差する、至高の儀式へと昇華させる体験となるでしょう。
牧勇吉氏の生涯と、板谷波山氏から受け継がれた「至純の美」を、その掌の中で確かめてください。海外の美術館にも収蔵される名匠の稀少な小品であり、かつウイスキーの風味を科学的・芸術的に引き立てるこの道具は、真の審美眼を持つコレクターにとって、決して手放すことのできない一期一会の宝物となるはずです。
- 作者: 牧 勇吉(まき ゆうきち、1916-1998)
- 作者の代表的な活動歴: 陶芸界初の文化勲章受章者・板谷波山に師事。[1951年] 第7回日展特選受賞、[1953年] 第9回日展特選受賞、[1987年] 勲四等瑞宝章受章、[後年] 日展評議員、日展会員、茨城県美術展覧会会長などを歴任。
- 作品収蔵: 茨城県近代美術館、筑西市立美術館(旧下館市立美術館)、板谷波山記念館、など
- 製作年代: 1980年代(推定)
- 商品状態: 非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品: 専用共箱、包布、栞 あり
- 材質: 磁器(彩泥・金彩)
- 寸法: 高さ 約 7.5 cm、幅 約 9.4 cm × 7.0 cm
- 注意: 当店が提供する商品は新品未使用であっても生産時期が大変古いものであり、すべて中古品として掲載しています。商品には経年によるダメージがある場合がありますので、ご理解及びご確認の上で購入をご検討ください。
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