人間国宝 五代 伊藤 赤水 作 佐渡 無名異焼 窯変 ぐい呑み 2点セット #189
人間国宝 五代 伊藤 赤水 作 佐渡 無名異焼 窯変 ぐい呑み 2点セット #189
五代 伊藤赤水(1941-)は、2003年に重要無形文化財「無名異焼」の保持者として、佐渡島から初めて人間国宝に認定された現代陶芸界の巨匠です。氏は、幕末から続く赤水窯の伝統を継承しながらも、単なる伝統の踏襲に留まらず、土と炎の化学反応を極限まで追求することで、無名異焼を世界的な芸術へと昇華させました。その評価は国内に留まらず、ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのビクトリア&アルバート美術館など、世界の名だたる公立美術館が氏の作品を永久収蔵している事実が、その芸術性の普遍性を物語っています。
本作において特筆すべきは、人間国宝認定の核心となった「窯変」の極致です。無名異焼の原料は、佐渡金山近辺より産出する酸化鉄を豊富に含んだ赤土ですが、この土は粒子が極めて細かいため、焼成過程で約30パーセントという驚異的な収縮を起こします。この極めて高い収縮率は、わずかな温度変化や土の偏りで容易に割れや歪みを生じさせるため、完品を得るには名工の極めて緻密な計算と長年の経験による勘が不可欠です。本作は一切の釉薬を施さない「焼締」でありながら、焼成時に酸素を極限まで制限する還元焼成を施すことで、土に含まれる鉄分を反応させ、赤土の一部を深い漆黒へと変化させています。この作為を超えた炎の痕跡は、佐渡の荒々しい海岸線や断崖を打つ波の飛沫、あるいは島に吹き荒れる風が岩肌に刻んだ時間を模したものとされ、自然の峻烈さと静寂を一つの器の中に封じ込めています。
派手な装飾を排し、土と炎の対話のみで構成された本作の意匠には、日本の「わびさび」の美意識が色濃く反映されています。赤と黒の劇的なコントラストは、一見すると鋭い印象を与えますが、手にした瞬間に感じる無名異焼独特の硬質かつきめ細やかな肌触りは、静謐な力強さを湛えています。人間国宝の作品としてのすごさは、過剰な主張をせずとも、そこに存在するだけで空間の空気を変えるような「静かな威厳」にあります。当店では、この稀少な一品を、数十年の歳月を経て円熟した古酒やウイスキーの繊細な琥珀色を引き立てる至高の酒器として提案いたします。名工の生涯をかけた探求が結実したこの器は、酒を愛する方にとって、ただの道具を超えた精神的な充足をもたらす特別な存在となるはずです。
- 作者: 五代 伊藤 赤水(いとう せきすい、1941- )
- 作者の代表的な活動歴: 佐渡島に伝わる「無名異焼」を芸術の域へと高め、2003年に重要無形文化財「無名異焼」保持者(人間国宝)に認定。 [1973年] 日本伝統工芸展 高松宮総裁賞受賞、 [2005年] 紫綬褒章受章、 [2011年] 旭日小綬章受章。
- 作品収蔵: 東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、メトロポリタン美術館、ビクトリア&アルバート美術館、スミソニアン美術館、他
- 制作年代: 2000年代〜2010年代(人間国宝認定後の円熟期) ※本作の「窯変」は、炎の制御のみで赤土を漆黒へと変化させ、佐渡の険しい海岸線を表現した五代赤水氏の代名詞的な意匠です。人間国宝に認定された2003年前後からさらに研ぎ澄まされた、作為を超えた自然の力強さと静寂が共鳴する、氏の表現の到達点を示す時期の作風です。
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状態: 良い(欠けなし、割れなし)、一部汚れあり
- 付属品: 共箱、包布
- 材質: 陶器(無名異焼・窯変)
寸法: 高さ 約 7.2 cm 〜 8.0 cm、口径 約 6.0 cm 〜 6.8 cm
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