武村 豊徳 作 御深井彫文 美濃焼 水滴 ウイスキードロッパー ウォータードロッパー #190
武村 豊徳 作 御深井彫文 美濃焼 水滴 ウイスキードロッパー ウォータードロッパー #190
武村豊徳は1957年(昭和32年)に長崎県で生まれ、若くして作陶の道を志した陶工です。彼は長崎から備前の地へと渡り、1974年には弱冠17歳で備前陶芸センターを修了するという、異例の早熟さでそのキャリアをスタートさせました。その後、瀬戸・美濃焼の名工である加藤春鼎先生に師事し、伝統的な釉薬技法を深く研鑽しました。1979年(昭和54年)には岡山県和気郡にて豊徳窯を築き、独立を果たしました。備前焼という無釉・焼締めの伝統的な世界で修行を積みながらも、武村氏はその枠に留まることなく、師匠から受け継いだ釉薬技法と独自の感性を融合させた表現に挑み続けてきた作家です。
本作に用いられている御深井釉(おふけゆう)は、江戸時代に名古屋城内の御深井丸で焼かれたことに由来する、透明感のある灰釉の技法です。武村氏は器面に緻密な彫り文様を施し、そこにこの釉薬を厚く溜めることで、深い青緑色の美しいグラデーションを生み出しました。彫刻的な凹凸に釉薬が溜まる釉だまりの深みは、備前という土と炎の格闘を知り尽くし、かつ加藤春鼎先生のもとで釉薬の真髄を学んだ彼だからこそ到達できた、光を制御する芸術とも言えます。本作は、長崎出身の作家が備前で培った力強い造形感覚と、洗練された伝統美を融合させた独自の境地を示す名品です。
当店では、本来書道具として水を一滴ずつ滴下させるために作られたこの水滴を、希少な古酒やシングルモルトウイスキーの香味を完璧に開かせるためのウォータードロッパーとして再定義いたします。その使い方は非常に優雅で合理的です。本体上部の空気穴を指先で塞ぎ、その押さえる力をわずかに緩めることで、内部への空気の流れをミリ単位で調整し、一滴の精度で加水を自在にコントロールすることが可能です。デジタルな器具では決して味わえない指先を通じた直感的な操作感は、ウイスキーと対話する時間をより一層深いものへと導きます。
作者である武村豊徳は、自らの美学を追求し続ける作家です。長崎の風土で育ち、10代から備前の厳しい環境で腕を磨き、名工のもとで釉薬を学んできた彼の歩みは、作品の一つ一つに確かな意志として刻まれています。制作年代は1990年代から2000年代にかけての技術が最も研ぎ澄まされた成熟期にあたり、共箱と作家本人の略歴が記された栞が付属します。作品の状態は非常に良好で、伝統的な機能美と現代のライフスタイルを繋ぐ唯一無二のコレクションとなります。
- 作者: 武村 豊徳(たけむら とよのり、1957-)
- 作者の代表的な活動歴: 長崎県出身。17歳で備前陶芸センターを修了後、瀬戸・美濃焼の名工、加藤春鼎氏に師事。1979年に岡山県和気郡にて豊徳窯を築き独立。備前焼の造形感覚と伝統的な釉薬技法を融合させた独自の作風を確立。1984年に日本工芸会正会員に認定。日本伝統工芸展や東海伝統工芸展など、入選・受賞多数。伝統的な「御深井(おふけ)」の技法に、緻密な彫り文様を組み合わせた独自の様式を確立し、現代美濃陶芸の格調を伝える作家として国内外で高く評価されています。
- 作品収蔵:岡山県立美術館、備前市立備前焼ミュージアム、他
- 制作年代: 1990年代〜2000年代
- 状態: 非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品: 共箱(作家直筆署名・捺印入りの木箱)、栞
- 材質: 陶器(美濃焼・御深井釉・彫文)
- 寸法: 幅 約 6.5 cm、高さ 約 5.5 cm
- 注意: 当店が提供する商品は新品未使用であっても生産時期が大変古いものであり、すべて中古品として掲載しています。商品には経年によるダメージがある場合がありますので、ご理解及びご確認の上で購入をご検討ください。
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