初代徳田八十吉直系 石川県文化功労賞受賞作家 吉田 勝山 作 九谷焼 青手釉裏金彩花文水滴 洋酒用ウォータードロッパー、ウィスキードロッパー #207
初代徳田八十吉直系 石川県文化功労賞受賞作家 吉田 勝山 作 九谷焼 青手釉裏金彩花文水滴 洋酒用ウォータードロッパー、ウィスキードロッパー #207
石川県金沢市八日市を拠点に活動した九谷焼の巨匠、吉田勝山(本名・吉田丈夫、1916-1999)は、金沢九谷の振興と発展に生涯を捧げた名工です。氏は九谷焼の彩色における最高権威であった初代徳田八十吉から直接の指導を受け、その極めて緻密な釉薬の調合と発色技法を継承しました。日展での特選受賞や無鑑査としての活躍、金沢市文化賞および石川県文化功労賞の受章といった華々しい経歴は、氏が地域の工芸界においていかに重鎮であったかを物語っています。特に、釉薬の下に金箔や銀箔を配する釉裏金彩の技法と、九谷焼伝統の青手を現代的に昇華させた透明感のある色彩表現は、国内外の美術館に収蔵される作品群においても高く評価されています。
本作は、書道具としての水滴として制作されたものですが、現代においては古酒やウィスキーの香りを引き出すためのウォータードロッパー(加水器)として類稀なる実用性と芸術性を備えています。作品の全面を覆う重厚な緑青色の釉薬は、まさに吉田勝山氏の真骨頂である青手の系譜を継ぐものであり、初代徳田八十吉から受け継いだ秘伝の釉薬調合によって実現した深みのある色彩です。釉薬の層は非常に厚く、まるで宝石のような光沢と透明感を湛えており、その奥底に沈められた金彩が光を反射して奥ゆかしく輝く様は、高度な熟練を要する釉裏金彩の技法が完璧に成し遂げられていることを証明しています。
中央に配された大輪の花文は、氏が好んで描いた牡丹の意匠であり、写実的な線描きと上絵具の盛り上げによって圧倒的な存在感を放っています。鮮やかな紅色の発色は、深い緑の釉薬との対比により一層際立ち、伝統的な九谷焼の色彩美を現代的な気品へと昇華させています。掌に収まる丸みを帯びた優美な造形は、水を一滴ずつ正確に落とすための道具としての機能美を体現しており、ウィスキーのテイスティングにおいて香りを広げる贅沢なひと時を演出します。1999年に氏が逝去して以降、勝山窯の新作が世に出ることはなく、特に本品のように初代八十吉直系の色彩感覚が色濃く反映された晩年の円熟期の作品は、石川県立美術館や金沢市立安江金箔工芸館の収蔵品に匹敵する歴史的価値を持つ希少な工芸遺産と言えます。
- 作者:吉田 勝山(よしだ かつざん、1916-1999)
- 作者の代表的な活動歴:[1948] 北村羅山に師事、[1950年代] 初代徳田八十吉に師事し釉薬技法を習得、[1970] 日展特選受賞、[1980] 金沢市文化賞受賞、[1991] 石川県文化功労賞受賞
- 作品収蔵:石川県立美術館、金沢市立安江金箔工芸館、金沢市および石川県の公的機関 など
- 制作年代:1980年代~1990年代(円熟期、晩年作と推定)
- 状態:非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品:共箱(勝山窯 署名・落款入り)、栞
- 材質:陶器(九谷焼)
- 寸法:高さ約 5.0cm、幅約 7.5cm
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