宮内庁御用達 十四代 辻常陸(つじ ひたち)作 染付吹墨鳳凰文 彫刻的造形水滴 ウィスキードロッパー ウォータードロッパー #208
宮内庁御用達 十四代 辻常陸(つじ ひたち)作 染付吹墨鳳凰文 彫刻的造形水滴 ウィスキードロッパー ウォータードロッパー #208
有田焼の歴史において、唯一無二の官位である常陸介を継承し、明治時代に磁器界で初めて宮内省(現・宮内庁)御用達の命を受けた名門、辻常陸家の十四代辻常陸(つじ ひたち)、本名・辻常茂(つじ つねしげ、1909-2007)による芸術的な水滴です。十四代は、東京美術学校(現・東京藝術大学)の彫刻科を卒業したという陶芸家としては異色の経歴を持ち、その確かな造形力は、単なる器の枠を超えた立体的な彫刻美を作品にもたらしました。江戸時代から続く禁裏御用(皇室用)の伝統技法を現代へと昇華させ、その功績により勲四等瑞宝章を受章。作品は大英博物館や国立工芸館など、世界の主要な美術館に永久保存されています。
本作には、十四代辻常陸が最も高く評価される技術的特徴である「吹墨(ふきずみ)」と、彫刻科出身ならではの「立体的造形」が完璧な形で融合しています。吹墨とは、呉須(青色の顔料)を霧状に吹き付けることで、夜空の霞や深みのあるグラデーションを表現する辻家独自の秘伝技法ですが、本作の表面に見られる繊細な青の粒子はその極致と言えます。また、鳳凰を思わせる瑞鳥を象ったその姿は、一寸の無駄もない流麗な曲線で構成されており、磁器という硬質な素材でありながら、生命の躍動感を感じさせる彫刻的な完成度を誇っています。この不純物を極限まで取り除いた純白の白磁と、深く澄んだ呉須の対比こそが、三百余年にわたり皇室に愛され続けた辻常陸の正統なる美学です。
この水滴は本来、書道具として制作されたものですが、その格式高い佇まいと機能性は、現代において古酒やウィスキーの香りを花開かせるための最高級のウィスキードロッパー(加水器)として比類なき存在感を放ちます。鳳凰の口先から落ちる正確な一滴は、ウィスキーのテイスティングにおいて、琥珀色の液体に魔法のような変化をもたらす瞬間にふさわしい品格を備えています。十四代の没後、市場に現存する真筆の作品、特にこれほどまでに造形が際立った水滴は極めて稀少であり、日本の国家的な品格を体現する「消費することのできる文化財」としての古酒を味わうための、究極の道具と言えます。
- 作者:十四代 辻常陸(本名・辻 常茂、1909-2007)
- 作者の代表的な活動歴:[1933] 東京美術学校彫刻科卒業、[1981] 佐賀県文化功労賞受賞、[1983] 勲四等瑞宝章受章、[1988] 昭和天皇傘寿(80歳)記念磁器制作
- 作品収蔵:大英博物館(ロンドン)、宮内庁(御物として多数)、国立工芸館(東京)、佐賀県立九州陶磁文化館 など
- 制作年代:1990年代前半(円熟期、晩年作と推定)
- 状態:非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品:共箱(宮内庁御用達・十四代 辻常陸 署名落款入り)、包布
- 材質:磁器(有田焼、純白磁)
- 寸法:高さ約 4.0cm、幅約3.5、全長約 9.0cm
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