萬古焼伝統工芸士 四代 森 伊呂久 作 紫泥ダイヤモンドカット 幾何学面取水滴 ウィスキードロッパー、ウォータードロッパー #210
萬古焼伝統工芸士 四代 森 伊呂久 作 紫泥ダイヤモンドカット 幾何学面取水滴 ウィスキードロッパー、ウォータードロッパー #210
三重県四日市市の伝統工芸、萬古焼(ばんこやき)の歴史において、急須の造形を芸術の域へと押し上げた巨匠、森伊呂久(もり いろく)家による、極めて精緻な芸術的水滴です。森伊呂久家は代々、萬古焼の真髄である紫泥(しでい)を用いた急須制作の第一人者として知られています。特に二代伊呂久が考案し、三代(1936-2014)、そして現在の四代(1963-)へと受け継がれた「ダイヤモンドカット(面取り)」技法は、萬古焼の歴史における最高峰の技法の一つとされています。三代森伊呂久氏は1980年に伝統工芸士に認定され、四代氏も2000年に認定を受けるなど、親子二代にわたる伝統工芸士として、その卓越した技能は国からも高く評価されています。
本作の最大の特徴は、器の全面に施された「ダイヤモンドカット」にあります。これは、ろくろで成形した極薄の紫泥の表面を、土が完全に乾ききる前の絶妙なタイミングで、特殊なヘラを用いて手作業で一つひとつ幾何学的に削り落としていく、気の遠くなるような精密技法です。萬古焼の急須は、お茶の味をまろやかにするために壁面を極限まで薄く引くことが求められますが、その「紙のように薄い」陶壁を突き破ることなく、寸分の狂いもなく面取りを施すには、超人的な集中力と長年の経験による指先の感覚が不可欠です。光を多角的に反射し、陶器でありながらクリスタルガラスのような輝きとエッジを湛えたその佇まいは、まさに「職人の指先が到達した究極の精密工芸」と呼ぶにふさわしいものです。
本来は書道具としての水滴として水を一滴ずつ滴下させるために考案されたこの道具を、当店では洋酒や数十年の熟成を経た稀少な古酒を楽しむためのウォータードロッパーとして再定義いたします。瓶詰めから数十年が経過した高純度のアルコールや古酒は、極めて微量の水を加えることで表面張力が変化し、閉じ込められていた複雑な香りと味わいの層が劇的に開く「加水による開花(Blooming)」の瞬間があります。この極めて繊細な変化を制御するためには、水を精密に一滴ずつ制御できるこの水滴の形状が最適です。その使い方は、驚くほど直感的で優雅です。本体上部にある小さな空気穴を指先で軽く押さえ、その指をわずかに浮かせたり閉じたりすることで、内部への空気の流れをミリ単位でコントロール。意図した通りの「一滴」を、琥珀色の液体へと静かに導くことができます。
四日市市立博物館にもその作品が永久保存されている森伊呂久氏の作品は、近年、中国や台湾を中心としたアジア圏の高級茶器市場において「急須の神様」として熱狂的な支持を集めており、一点制作であることからその希少性は年々高まっています。特に本品のようなダイヤモンドカットが施された水滴は、急須以上に制作の機会が限られる珍しい一品です。萬古焼の紫泥に含まれる鉄分が水質をまろやかに整えるという実用的な側面もあり、世界的な至宝とも言える稀少な古酒を味わうための、究極の道具としてお勧めいたします。
- 作者: 四代 森 伊呂久(もり いろく、1963-)
- 作者の代表的な活動歴: [1986] 萬古焼急須品評会 市長賞受賞、[1987] 日本新工芸展入選、[2000] 経済産業大臣指定 伝統工芸士に認定
- 作品収蔵: 四日市市立博物館、萬古陶磁器振興会 など(家系としての実績)
- 制作年代: 2000年代以降(伝統工芸士認定後の円熟期と推定)
- 状態: 非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品: 共箱(伊呂久 署名・落款入り)、包布、栞
- 材質: 陶器(萬古焼 紫泥)
- 寸法: 高さ 約5cm、縦幅 約 4.7cm、横幅 約 6cm
- 注意: 当店が提供する商品は新品未使用であっても生産時期が大変古いものであり、すべて中古品として掲載しています。商品には経年によるダメージがある場合がありますので、ご理解及びご確認の上で購入をご検討ください。
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