松本 為佐視 作 現代京都磁器の至宝 汝窯天青色の再定義 翠青磁 ショットグラス #211
松本 為佐視 作 現代京都磁器の至宝 汝窯天青色の再定義 翠青磁 ショットグラス #211
京都陶芸界の重鎮であり、現代日本の磁器芸術を牽引した巨匠、松本為佐視(まつもと いさみ、1931-2012)氏による、極めて端正な翠青磁のぐいのみです。松本氏は、戦後の日本陶芸を純粋美術としての鑑賞陶芸へと引き上げた文化勲章受章者、楠部彌弌(くすべ やいち)氏に師事しました。師から受け継いだ、実用を超えた純粋芸術としての陶芸精神は、格調高い造形美と繊細な色彩の重なりとして彼の作品に一貫して流れています。
本作において氏が到達した独自の青磁の発色、エメラルドグリーンの奥行きを持つ翠青磁は、釉薬中の酸化鉄含有量を0.1パーセントから0.3パーセントという極めて微細な範囲で制御し、窯内の還元雰囲気を1300度前後の高温域で完全に一定に保つことで初めて得られる物理現象の結果です。この技法は中国・宋時代の汝窯が到達した天青色を現代の化学的アプローチで再定義したものであり、光が釉薬層内の微細な気泡や未溶解粒子に反射して起こるレイリー散乱を意図的に引き起こすことで、工業製品の着色剤では不可能な深い透明感を生み出しています。器の全面に施された線刻技法は、素地が半乾燥状態にあるわずかな時間内にコンマ数ミリの精度で針を走らせる高度な感覚を要し、一度のミスも許されない非可逆的な工程を経て完成されます。
造形面においては、口径約7.2cmに対して高さ約4.2cmという、安定感と優美さを兼ね備えた寸法が特徴です。これほど薄く端正な磁器に深みのある青磁釉をムラなく定着させ、貫入を制御することは、日展審査員としての長年の経験に基づく焼成スケジュールの完全な掌握を証明しています。圧倒的な技術力と品格ゆえに、松本氏は国内最高峰の日展において二度の特選を受賞しました。その評価は海外にも及び、アメリカのカンザス大学附属スペンサー美術館やミネアポリス美術館、バーク・コレクションなど、世界的な美術館にその作品が収蔵されています。
本来は日本酒を楽しむためのぐいのみとして制作された本作を、当店では数十年の熟成を経た稀少な古酒や洋酒を味わうためのショットグラスとして提案いたします。口径が広く設計されたこの形状は、液体が空気に触れる面積を最適化し、加水による開花(Blooming)が生み出す複雑な香りをダイレクトに鼻腔へと届けます。手のひらに収まるサイズでありながら、無限の奥行きを持つエメラルドグリーンと、精密な線刻の緊張感が融合した、学術的にも高く評価される最高峰のアートピースです。
- 作者:松本 為佐視(まつもと いさみ、1931-2012)
- 作者の代表的な活動歴:第10回日展特選受賞、第6回日展特選受賞、日展審査員、日展評議員、京都工芸美術作家協会理事などを歴任
- 作品収蔵:スペンサー美術館(アメリカ・カンザス大学附属)、ミネアポリス美術館 (Minneapolis Institute of Art / アメリカ)、バーク・コレクション (Mary and Jackson Burke Foundation / アメリカ)、京都市京セラ美術館(京都市美術館)、逸翁美術館(大阪府池田市)、など
- 制作年代:2000年代(晩年の円熟期と推定)
- 状態:非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品:共箱(松本為佐視 署名・落款入り)、包布、栞
- 材質:磁器
- 寸法:口径 約 7.2cm、高さ 約 4.2cm
- 注意:当店が提供する商品は新品未使用であっても生産時期が大変古いものであり、すべて中古品として掲載しています。商品には経年によるダメージがある場合がありますので、ご理解及びご確認の上で購入をご検討ください。
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