岡山県重要無形文化財保持者 吉本 正 作 火襷備前焼 緋襷麦酒呑、ビアジョッキ、タンブラー、 師)藤原啓 正統継承作品 #214
岡山県重要無形文化財保持者 吉本 正 作 火襷備前焼 緋襷麦酒呑、ビアジョッキ、タンブラー、 師)藤原啓 正統継承作品 #214
人間国宝・藤原啓氏に19年間師事し、その精神と技法を最も純粋に受け継いだ現代備前焼の重鎮、吉本正(よしもと ただし、1943-)氏の作品をご紹介します。吉本氏は2007年に岡山県指定重要無形文化財保持者に認定され、2025年には備前市名誉市民にも選出された、名実ともに備前焼界を代表する作家です。氏の作品はフランスのセーブル国立陶磁器美術館など世界の主要な美術館に収蔵されており、その芸術性は国際的な基準で確立されています。本作は、師匠譲りのおおらかな造形の中に、吉本氏が得意とするたたら造りや指成形による端正な秩序が宿る、氏の卓越した技術が凝縮された一客です。
本作において最も注目すべきは、器面を鮮やかに彩る火襷(ひだすき)の意匠です。火襷とは、焼成前に稲藁を器に巻き付けることで、炎と土、そして藁の成分が化学反応を起こし、緋色の鮮やかな筋模様を浮き上がらせる備前焼伝統の装飾技法です。添付画像を確認すると、土本来の素朴な褐色の肌の上に、計算されたかのように躍動感のある赤いラインが走り、静止した器の中に炎の記憶を封じ込めたような美しさが現れています。また、吉本氏が岡山県文化奨励賞を受賞するきっかけとなった、たたら造りの影響を思わせる手成しの質感は、掌に吸い付くような感触と適度な重厚感を与えており、これは大量生産品には決して真似できない作家の指先の思考がそのまま形となったものです。
当店では、本来は麦酒(ビール)を嗜むために制作されたこの器を、琥珀色の古酒や熟成されたジャパニーズ・ウイスキーを愉しむための特別な酒器として提案いたします。備前焼は釉薬を用いず、1200度を超える高温で長時間焼き締められるため、微細な気孔が含まれており、これが液体に含まれる成分に作用して味わいをまろやかに変化させると言われています。ウイスキーを注いだとき、火襷の緋色は液体の黄金色と共鳴し、土のざらりとした肌合いはアルコールの刺激を視覚的・触覚的に和らげ、時の堆積が生んだ熟成香をより深く思索的に愉しむための、まさに究極のテイスティング体験を提供します。
日本国内においても岡山県重要無形文化財保持者の作品は、その希少性と技術的裏付けから美術品としての価値が盤石ですが、海外市場においてはこうした作家の背景や正確な技法の解説が乏しく、本作のような極めて質の高い一品は非常に珍重される存在です。藤原啓という偉大なる人間国宝の元で19年間研鑽を積み、伝統を保守しながらも現代の空間に馴染む洗練を追求し続けた吉本正氏の魂が宿る本作は、単なる道具の枠を超え、所有する喜びと歴史を繋ぐ架け橋となることでしょう。
- 作者: 吉本 正(よしもと ただし、1943-)
- 作者の代表的な活動歴: [1964年より] 人間国宝・藤原啓に師事(19年間)[1975年] 独立、[1986年] 岡山県文化奨励賞受賞、[1988年] 金重陶陽賞受賞、[2007年] 岡山県指定重要無形文化財「備前焼製作技術」保持者に認定、[2025年] 備前市名誉市民選出。日本工芸会正会員。
- 作品収蔵: セーブル国立陶磁器美術館(フランス)、備前市美術館、岡山県立美術館、他。
- 制作年代: 2010年代(推定)
- 状態: 非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品: 共箱、包布、栞
- 材質: 陶器(備前焼・火襷)
- 寸法: 高さ 約 13.2cm、口径 約9.6cm、胴径 約12.6cm、底面径 約 6.1cm
- 注意: 当店が提供する商品は新品未使用であっても生産時期が大変古いものであり、すべて中古品として掲載しています。商品には経年によるダメージがある場合がありますので、ご理解及びご確認の上で購入をご検討ください。
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