加守田章二門下 坂田 甚内(Jin)作 箔葉玻璃深甚紋 赤金彩 手吹き硝子 揺動酒盃 #245
加守田章二門下 坂田 甚内(Jin)作 箔葉玻璃深甚紋 赤金彩 手吹き硝子 揺動酒盃 #245
益子焼を芸術の域へと高めた伝説的陶芸家、加守田章二氏に師事し、陶芸と硝子の融合という独自の境地を切り拓いた巨匠、坂田甚内(さかた じんない、1943~)氏による、極めて希少な手吹き硝子の酒盃です。本作は坂田氏が1990年代から2000年代にかけて精力的に取り組んだ「陶とガラスの融合」および装飾的表現の極致を示すものであり、氏の代表的な造形哲学が凝縮されています。
本作の最大の意匠的特徴は、氏のアイデンティティである深甚紋(しんじんもん)と、金箔を硝子内部に封じ込める箔葉玻璃(はくははり)技法の高度な融合にあります。深甚紋とは、本来陶芸において縄目や刻印によって生み出される「深く神秘的な紋様」を指しますが、本作においては、透明な硝子層に意図的に施された細かな貫入(ひび)と、その隙間に緻密に配置された金箔、そして見る角度によってエメラルドのように発色する緑色の輝きによって、多層的で奥行きのある視覚効果として再定義されています。この緑色の発色は、特定の金属酸化物や光の干渉を利用した高度な発色技術によるもので、単なる着色とは一線を画す宝石のような深みを与えています。
造形面において特筆すべきは、底部を厚く丸く仕上げることで実現された、起き上がりこぼしのように揺れながらも決して倒れない揺動(スイング)構造です。ステムや台座を排したこのミニマルなフォルムは、手に取った際の重量感と、テーブルの上で優雅に揺れ動く遊び心を両立させています。硝子という硬質な素材に、陶器のような「揺らぎ」と「安定感」を持たせるこの設計は、重心の完璧な制御と手吹きならではの肉厚の調整が必要であり、氏の卓越した成形技術を証明しています。
坂田甚内氏の作品は、伊勢神宮や出雲大社、熱田神宮といった日本最高峰の聖域に奉納されていることからも分かる通り、単なる工芸品の枠を超えた神性や精神性を宿したアートピースとして高く評価されています。陶芸家としての土着的な感性と、硝子の透明な美しさがぶつかり合うことで生まれる装飾的過剰さは、海外のガラス専業作家には見られない独自の美学です。真正な自筆サイン「Jin」および「甚内」が刻まれた本作は、晩酌を格調高い儀式へと昇華させ、日本の現代工芸史の重要な断片を所有する喜びを提供してくれる至高の逸品です。
- 作家:坂田 甚内(1943~現在)
- 作家の代表的な活動歴:[2009年] 第一回 上海国際陶磁生活芸術博覧会の招待作家、[2013年] 出雲大社平成の大遷宮に深甚文箔葉玻璃勾玉大皿「生命の輝き」を奉納、[2013年] 伊勢神宮式年遷宮に合わせて黒陶深甚文箔押大皿「太陽へのオマージュ」を奉納、[2014年] 熱田神宮に深甚文箔玻璃オブジェ「倭安寧」を奉納、[2014年] 亀岡八幡宮(益子町)に黒陶刻印文箔押陶筥一対「長寿」を奉納。
- 制作年代:1990年代〜2000年代
- 状態:非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品:なし
- 材質:硝子、金箔
- 寸法:高さ 約 6.5cm、口径 約 6.0 cm
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