広島県重要無形文化財 内田 泰秀、1971年 作陶、失われた幻の技法「表裏貫通錦練上手」ぐいのみ、ショットグラス #255
広島県重要無形文化財 内田 泰秀、1971年 作陶、失われた幻の技法「表裏貫通錦練上手」ぐいのみ、ショットグラス #255
1893年に生まれ、1997年に104歳で世を去るまで昭和から平成の陶芸史に偉大な足跡を残した広島県重要無形文化財「錦練上手」保持者、内田泰秀氏による極めて希少な1971年作のぐいのみをご紹介します。内田氏は1960年代にフランスの名門国立セーブル製陶所にて高度な色彩および磁器技術を習得し、1970年の大阪万博への出品を経て、1973年に広島県重要無形文化財の保持者に認定されました。本作は、重要無形文化財に認定される直前の、内田氏のキャリアのなかでも比較的古い時期にあたる1971年に作陶された記念碑的な一客です。当店ではこの国内外の工芸収集家から今なお高く評価されている幻の作品を、歳月を重ねた古酒やプレミアムなウイスキーをストレートで味わうための特別なショットグラスとして世界へ提案いたします。
内田泰秀氏の芸術性の骨幹であり、最も高く評価されているのが、現代では再現が極めて困難とされる失われた幻の技法、表裏貫通錦練上手です。この技法は、一般的な陶芸のように表面に顔料で絵付けを行うのではなく、異なる金属酸化物を混ぜ合わせて発色させた色の異なる粘土を、緻密な計算のもとでパズルのように組み合わせ、文様そのものを土の構造として作り上げる驚異的な技法です。成分が異なる粘土は焼成時の収縮率がそれぞれ異なるため、窯の中で接合部から割れるリスクが極めて高く、少しの誤差も許されません。セーブル製陶所で培われた色彩感覚と土を完全にコントロールする高い技術が、この混濁のない鮮やかな発色を可能にしています。
本作の意匠を専門的に分析すると、この表裏貫通錦練上手技法の発展途上期における貴重な造形的特徴が明確に表れています。最大の特徴である表裏貫通の名の通り、外側に施された緻密な幾何学文様は内側と底面に至るまで完全に貫通しており、土の層が均一に重なり合っている構造を視覚的に証明しています。内田氏の晩年の作風に見られる洗練された薄手の軽やかさに比べ、発展途上期に位置する本作は全体的にどっしりとした心地よい重みがあり、初めて握った瞬間から不思議と手になじむ優れたホールド感を持っています。さらに、器の内側の底面にはこの時期の作品に見られる美しい釉薬の溜まり(釉溜まり)がはっきりと確認でき、外側の底面は確かな安定感を備えながらも、工業製品には決して真似のできない手仕事ならではの不規則なゆらぎを残しています。そのため、テーブルから手を離して置く瞬間に独特の手応えと感覚を覚える点も、本作ならではの非常に興味深い見どころです。
また、本作は視覚的な愉しみとして、撮影時や鑑賞時の光源の種類、光の差し込む角度や強さといった度合いによって、表面の色合いの見え方に明確な違いや変化が発生するという独自の特性を持っています。本作は内田氏の作品に「泰」の字が刻まれる前の時期に作陶されているためにヘラで刻まれたサインは確認できませんが、幾重にも織り込まれて作られた力強い土の層の質感、作家の直筆署名と落款が入った共箱、および包布から、内田氏の真作であることが確認できます。半世紀以上の時を経てなお色褪せない情熱と卓越した職人技が凝縮された、世界に二つとない日本の伝統工芸の結晶を、美酒を味わう特別なひとときのお供としてぜひご堪能ください。
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作者:内田 泰秀(うちだ やすひで、1893~1997年)
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作者の代表的な活動歴:1960年代にフランス国立セーブル製陶所にて色彩・磁器技術を習得。1970年大阪万博に出品、1973年に広島県重要無形文化財「錦練上手」の保持者に認定。
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制作年代:1971年
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状態:非常に良い(欠けなし、割れなし)
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付属品:共箱、包布
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材質:錦練上手(陶器、表裏貫通技法)
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寸法:高さ約 5.0 cm、口径約 5.4 cm
- 注意①:当店が提供する商品は新品未使用であっても生産時期が大変古いものであり、すべて中古品として掲載しています。商品には経年によるダメージがある場合がありますので、ご理解及びご確認の上で購入をご検討ください。
- 注意②:光の加減やご覧いただく環境により、作品が持つ本来の色彩や質感が実物とわずかに異なって見える場合がございます。そのため、私どもではディテールをあらゆる角度からお確かめいただけるよう、できる限り多くの写真を掲載しております。細部までじっくりとご覧いただき、心からご納得の上でお求めくださいますようお願い申し上げます。
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