岐阜県重要無形文化財「黄瀬戸」保持者 日本工芸会正会員 仙太郎窯 安藤 日出武 作 志野 湯呑 五客揃 和の洋酒器 #454
岐阜県重要無形文化財「黄瀬戸」保持者 日本工芸会正会員 仙太郎窯 安藤 日出武 作 志野 湯呑 五客揃 和の洋酒器 #454
本品は、岐阜県重要無形文化財「黄瀬戸」保持者である陶芸家、安藤日出武氏による志野の湯呑五客揃です。共箱の蓋表には志野湯呑の揃いであることを示す箱書と「日出武」の署名、朱印が記されています。箱の内部には五客を一客ずつ納める仕切りが設けられています。直径・高さともに約7.5cmの手に収まる大きさで、厚みのある造りは氷を入れても安定します。当店では、古酒をオンザロックで楽しむ和のロックグラスとしてご提案いたします。
安藤日出武氏は、1938年(昭和13年)に岐阜県多治見市で生まれました。代々窯業を営む市之倉の仙太郎窯の三代目にあたり、作家略歴では「仙山窯」の名でも紹介されています。仙太郎窯の作家紹介によれば、先代までは磁器の小さな盃や小皿を焼く窯元でした。22歳の頃、父を訪ねてきた加藤唐九郎氏から「焼き物をやるなら美濃で生まれた焼き物をやらないかん」と言われたことが転機となり、桃山時代の志野・黄瀬戸・織部の研究に打ち込みます。
安藤氏は特定の師を持ちませんでした。リュックを背負って美濃の山中を歩き、窯跡を掘って陶片を集め、土の使い方や意匠、焼き方を独学で学んでいます。さらに、ガス窯では桃山の焼き物に限界があると考え、太平古窯跡に近い可児市久々利柿下の原野に、起伏をそのまま生かした半地上式の穴窯を築きました。岐阜県現代陶芸美術館の資料によれば、焼成は6昼夜にわたり、薪1500束を燃やすといいます。土も釉薬も自然の素材から自ら作ることにこだわり、東濃の土とこの穴窯によって切り拓いた独自の作風「古美濃」は、同館で「古淡の域」と高く評価されています。
主な経歴として、1963年に第1回朝日陶芸展、1964年に第11回日本伝統工芸展、1971年に第1回日本陶芸展に初入選し、以後もそれぞれ入選を重ねました。1970年には第8回朝日陶芸展で知事賞を受賞し、日本万国博覧会の生活産業館に志野大皿を出展しています。1973年に第11回朝日陶芸展で奨励賞、1974年に日本工芸会正会員となり、1990年に第8回幸兵衛賞を受賞しました。
1993年には「古美濃大壷」が美濃陶芸永年保存作品に指定されました。1998年には美濃陶芸庄六賞茶碗展で「古美濃茶碗」が大賞を受け、同年に多治見市無形文化財保持者に認定されています。2003年に岐阜県重要無形文化財「黄瀬戸」保持者に認定され、2013年に岐阜県文化功労者顕彰、2016年に旭日双光章を受けました。
岐阜県の解説では、安藤氏の黄瀬戸は従来の黄瀬戸とは異なる深みと重厚さを持つ独自の作風と評されています。2025年から2026年にかけては、岐阜県現代陶芸美術館で「美濃陶芸の系譜 安藤日出武展」が開催されました。同展では、桃山期の黄瀬戸や志野を当時と同様の土と焼成法で作り続けてきた作家として、安藤氏の代表作と近作が紹介されています。
本品は、安藤氏が黄瀬戸とともに長年取り組んできた志野の作品です。志野は、長石を主とした白い釉を厚く掛けて焼き上げる、桃山時代の美濃を代表する焼き物です。本品にもその特徴がはっきり表れています。
五客とも、乳白色の志野釉がたっぷりと掛かっています。釉面には志野特有の小さな穴(ピンホール)が無数に散り、その多くは内側に赤みを帯びた点となって現れています。釉の薄い口縁や胴の一部、底の周りには、橙から赤褐色の緋色が浮かび上がり、白い肌に温かな変化を与えています。底部では、中心から渦を描くように緋色が広がり、一客ごとに異なる景色をつくっています。
器形は、口がやや内に抱え込むような筒形です。胴には指で押したような柔らかな凹凸と歪みが残され、五客それぞれに表情が異なります。見込みも白い釉が滑らかに覆い、小さな赤い点が散る、落ち着いた景色です。
共箱に年記はなく、栞も付属していないため、制作年を特定する資料はありません。作家が桃山陶の研究を始めた1960年代以降の作であることのみ確かです。
- 作者: 安藤 日出武(あんどう ひでたけ、1938-)
- 作者の代表的な活動歴: [1963年] 第1回朝日陶芸展 初入選、[1964年] 第11回日本伝統工芸展 初入選、[1970年] 第8回朝日陶芸展 知事賞、日本万国博覧会生活産業館に志野大皿出展、[1971年] 第1回日本陶芸展 初入選、[1973年] 第11回朝日陶芸展 奨励賞、[1974年] 日本工芸会正会員、[1975年] 第1回中日国際陶芸展 初入選、[1990年] 第8回幸兵衛賞、[1992年] 多治見市文化芸術功労賞、[1993年] 「古美濃大壷」美濃陶芸永年保存作品に指定、[1998年] 美濃陶芸庄六賞茶碗展「古美濃茶碗」大賞、多治見市無形文化財保持者認定、[2002年] 岐阜新聞大賞 文化賞、[2003年] 岐阜県重要無形文化財「黄瀬戸」保持者認定、[2011年] 岐阜県教育文化功労者表彰、[2013年] 岐阜県文化功労者顕彰、[2016年] 旭日双光章、東海テレビ文化賞、[2017年] 『未完のままに』刊行(中部経済新聞社)、[2025年] 岐阜県現代陶芸美術館「美濃陶芸の系譜 安藤日出武展」(~2026年)
- 作品収蔵実績: 岐阜県現代陶芸美術館(「黄瀬戸茶盌」「黄瀬戸大壷」)
- 制作年代: 1960年代以降(共箱に年記がなく、栞も付属しないため特定不可)
- 商品状態: 非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品: 専用共箱 あり
- 材質: 陶器(志野釉)
- 寸法: 直径 約 7.5 cm、高さ 約 7.5 cm(各)
- 注意: 当店が提供する商品は新品未使用であっても生産時期が大変古いものであり、すべて中古品として掲載しています。商品には経年によるダメージがある場合がありますので、ご理解及びご確認の上で購入をご検討ください。
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