吉田 丈夫 作 『光裳』手吹き硝子クリスタル アイスボウル(Ice Bowl)、大型作品 #79
吉田 丈夫 作 『光裳』手吹き硝子クリスタル アイスボウル(Ice Bowl)、大型作品 #79
吉田丈夫(よしだ たけお、1916年-2002年)は、戦後日本の工芸ガラスの発展に大きく寄与した作家です。号を「燠人(おきびと)」とし、温もりと静けさを宿す作品世界を築きました。東京美術学校(現・東京藝術大学)工芸科漆工部で学び、漆工を専門に修業したのち、戦後の新しい素材への探究心からガラスの分野へと転じました。
吉田は1935年(昭和10年)、日本初のクリスタルガラス専門工場として産声を上げた各務クリスタル製作所(現・カガミクリスタル)に、創業者・各務鑛三の門下生として入社します。戦中・戦後の混乱期を経て1949年以降も大田区西六郷の本社に在籍し、工芸部長や常務取締役といった要職を歴任しました。ここでの長年にわたる制作経験、特に皇室納品物や国賓への贈呈品を手掛けるという高度な職務を通じて、伝統工芸の造形感覚と近代的素材であるクリスタルガラスを融合させた独自の表現を確立していきます。
吉田の作品は、茶道具や花器、酒器などの「用の美」を基盤としながらも、素材の透明感や光の屈折を通して、静謐で端正な美しさを示しています。1978年(昭和53年)に各務クリスタルを定年退職して独立した後は、茨城県に自身の工房「吉田丈夫クリスタル工芸」を設立。組織の枠を超えた芸術性の高い創作活動に打ち込み、代表作『伊達瓢』(1988年、国立工芸館蔵)に象徴されるような、滑らかな質感と有機的なフォルムが調和した名品を数多く世に送り出しました。自然を題材にした瓢や蕾などの造形には生命感と内なる光が宿り、漆工出身ならではの繊細な感覚と手仕事の温もりが感じられます。
本作『光裳(こうしょう)』は、吉田が各務クリスタル在籍時に住友信託銀行による特別依頼で制作した作品と考えられます。1974年に「現代の名工」に選ばれるなど、企業人として技術の頂点にあった時期の作であり、後年の独立作とはまた異なる、企業工房期特有の精緻で端正な造形美が感じられます。クリスタルの透明な余白に光が裾を引くように流れ込む美しい作品です。その名の通り、光をまとうように設えられた器は、日常のひとときを凛と彩るアイスボウルとしても秀逸です。厚みのあるクリスタルが氷を受け止め、淡く揺れる光の陰影が衣の裾のように器全体を包み込みます。氷とガラスの響きが、光をまとう静かな美しさとともに、心に残る豊かな時間を演出します。
- 作者:吉田 丈夫(よしだ たけお、1916年-2002年)
- 作者の代表的な活動歴:[1974年] 現代の名工として労働大臣表彰を受賞、[1977年] 第24回日本伝統工芸展に初入選、[1981年] 第28回日本伝統工芸展にて東京都知事賞を受賞、[1986年] 黄綬褒章を受章、[1988年] 代表作『伊達瓢』国立工芸館所蔵、[1990年] 通商産業大臣賞(伝統工芸産業優秀技術者表彰)を受賞、[1992年] 勲五等瑞宝章を受章、[1995年] 第42回日本伝統工芸展にて日本工芸会保持者賞を受賞。
- 作品名:光裳(こうしょう)
- 制作年代:1970年代(推定)
- 状態:非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品:専用木箱
- 材質:手吹き硝子、クリスタル
- 寸法:高さ 約 23cm、横幅 約 20cm
- 特記事項:製作上の小さな内部気泡や曇り、スレなどはありますが、特筆すべき制作後のダメージは見当たりません。
- 注意:当店が提供する商品は新品未使用であっても生産時期が大変古いものであり、すべて中古品として掲載しています。商品には経年によるダメージがある場合がありますので、ご理解及びご確認の上で購入をご検討ください。
受取状況を読み込めませんでした
低在庫:残り1個
詳細を表示する
