内田 泰秀 晩年成熟期の最高傑作、失われた幻の技法「表裏貫通錦練上手」陶製ロックグラス #156
内田 泰秀 晩年成熟期の最高傑作、失われた幻の技法「表裏貫通錦練上手」陶製ロックグラス #156
昭和陶芸史において「孤高の伝説」と称される陶芸家、内田泰秀。1970年の大阪万博での絶賛や、名門フランス国立セーブル製陶所での研鑽を経て、日仏の美意識を融合させた独自の境地へと到達しました。本作は、内田氏が87歳という最晩年に、たった一客の完成までに実に5ヶ月もの歳月を費やして生み出した、奇跡のような最高傑作です。
本作の絵柄は、一見すると筆で描かれたもののようにも見えるかもしれません。しかし、この作品の真の驚きは、その色彩と模様が一切の顔料による絵付けではないという事実にあります。これは失われた幻の技法「表裏貫通錦練上手(ねりあげで)」によるものです。異なる金属酸化物を混ぜ合わせて色付けした粘土を、緻密な計算に基づいてパズルのように組み合わせ、模様そのものを土の構造として作り上げているのです。
作品の中央には、水池のさざ波を連想させるような青いモザイクを背景に、淡いピンクと白の花びら、大きな緑の葉が幻想的に浮んでいて、まるでクロード・モネの「睡蓮」を彷彿させます。本作のように、異なる色の粘土を利用した陶器作品は焼成時の収縮率がそれぞれ違うため、接合部から割れるリスクが極めて高く、釉薬で誤魔化すことも許されません。内田氏はセーブルで培った技術により、この過酷な条件を克服し、混濁のない鮮やかな発色と堅牢な仕上がりを実現しました。
そして最大の特徴が「表裏貫通」です。グラスを覗き込むと、外側の複雑な文様が一点の狂いもなく内側、そして底面にまで完全に貫通していることに息を呑むでしょう。これは土の層が完璧に重なり合っている証拠であり、被爆地・広島出身である内田氏の「表裏のない平和への願い」が込められた至高の構造美でもあります。
琥珀色のウイスキーを注げば、液体の中で緻密な文様が万華鏡のように揺らめき、新たな絶景が広がります。5ヶ月分の情熱と技術が封じ込められた「錦」の世界観。この至高のロックグラスで美酒を味わう時間は、単なる晩酌を超えた贅沢な文化的特権となるでしょう。
- 作者:内田 泰秀(うちだ やすひで、1893~1997年)
- 作者の代表的な活動歴: [1952年] 三越日本橋本店にて「内田泰秀氏錦練上手作陶展」を開催、 [1960年代] フランス国立セーブル製陶所(Manufacture nationale de Sèvres)にて色彩・磁器技術を習得、 [1965年] 三次市無形文化財に指定、 [1970年] 大阪万博(EXPO'70)にて作品展示、 [1973年] 広島県重要無形文化財の保持者として認定。
- 制作年代: 1980年(昭和55年)4月 ※共箱裏に「昭和五十五年四月、五箇月間之作」の墨書あり。
- 状態: 非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品: 専用木箱、包布(署名・落款入り)
- 材質: 錦練上手(陶器、表裏貫通技法)
- 寸法: 高さ約6.5cm、口径約7.4cm(目安)
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