石井 康治 作 手吹き工芸硝子 金彩細工 結び文 酒杯 1点 #159
石井 康治 作 手吹き工芸硝子 金彩細工 結び文 酒杯 1点 #159
石井康治(1946–1996)は、西洋から伝わった硝子工芸に、日本独自の情緒と伝統的な「和」の美意識を吹き込んだ先駆者として、没後もなお世界中のコレクターから熱烈な評価を受けています。本作「手吹き硝子金彩酒杯」は、石井氏が円熟期を迎えた1980年代から1990年代にかけての美学が凝縮された、まさに卓上の芸術品と呼ぶにふさわしい逸品です。
石井氏の作品の最大の魅力は、厳しい北国の冬を思わせるような、静謐で気品あふれるフロスト加工の質感にあります。そのマットな硝子肌を贅沢に彩る金彩細工は、単なる表面的な装飾に留まらず、硝子の透明感と対比させることで、光の角度によって幾重にも表情を変える奥深い輝きを放っています。特筆すべきは、胴回りに施された「結び」の意匠です。日本文化において「結び」は人と人、あるいは心と心を繋ぐ神聖な象徴とされますが、これを熱した瞬間に硬化する硝子で表現することは、極めて高度な職人技を要します。迷いのない筆致のような硝子の曲線が金彩を抱きかかえる姿は、まさに石井氏が追求した「日本らしさ」の結晶と言えるでしょう。
また、本作のような「ステム(脚)のある酒杯」の構造は、硝子工芸において最も製作難易度が高い形状の一つです。手吹きによって成形される過程で、薄い脚部には極度の熱応力がかかり、冷却段階での破損や歪みが非常に多く発生するため、完成に至るまでには並大抵ではない集中力と熟練の技術が求められます。底裏に刻まれた氏のサインは、その過酷な工程を乗り越え、厳しい検品を通過した真作であることの証です。共箱とともに大切に受け継がれてきたこの酒杯は、単なる酒器としての機能を越え、持ち主の手に馴染むたびに石井康治氏が硝子に込めた情熱と狂気を伝えてくれるはずです。
- 制作元:株式会社石井グラススタジオ
- 作者:石井 康治
- 作者の代表的な活動歴:[1979年] 「ジャパンニューフェイスⅡ」にて出品作が秩父宮妃殿下のお買い上げ、[1985年] 三和酒類「いいちこ」シルエットボトルをデザインし、ジャパンパッケージデザインコンペティション特別賞を受賞、[1985年] 「西武工芸大賞展」にて特別賞を受賞、[1994年] 箱根・成川美術館にて「光と風のシンフォニー GLASS石井康治」展を開催
- 主な収蔵先:東京国立近代美術館、青森県立美術館、千葉県立美術館、富山市ガラス美術館、飛騨高山美術館(飛騨高山)、成川美術館(箱根ー芦ノ湖)
- 制作年代:1980年代~1990年代(推定)
- 状態:非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品:専用箱、栞 あり
- 材質:手吹き硝子
- 寸法:高さ約10cm、口径約6cm
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