谷 秋渓 作 金彩赤絵細描 雲龍文 酒盃 二客 昭和初期制作 竹内吟秋門下の真髄 下絵なしの極細一筆書き龍模様 ジャパニーズコウゲイの至宝 #203
谷 秋渓 作 金彩赤絵細描 雲龍文 酒盃 二客 昭和初期制作 竹内吟秋門下の真髄 下絵なしの極細一筆書き龍模様 ジャパニーズコウゲイの至宝 #203
石川県加賀市大聖寺に出自を持つ谷秋渓(たに しゅうけい、1888年-1959年、本名:政記)は、明治九谷の巨匠である竹内吟秋とその三男の広沢芦秋に師事し、九谷赤絵細描の正統を継承した名工です。秋渓の最大の特徴は、下描きを一切介さずに極細の筆一本で器を埋め尽くす超人的な筆力にあり、特に龍や鳳凰の図案においては、全く同一の文様を自在に描き出すことができたと伝えられています。本作の酒盃二客には、その真骨頂である雲龍文が施されており、小ぶりな器体に螺旋を描くように配された龍の鱗や瑞雲の描写には、淀みのない流麗な筆致と、金彩を交えた気品ある色彩設計が明確に表れています。
現代における赤絵細描の最高峰である山本芳岳の作品と比較すると、その描写の細かさや正確さの性質には、制作された時代の環境差が色濃く反映されています。現代の芳岳による作品は、高性能な拡大鏡や顕微鏡の使用、さらに均質で極細の合成繊維筆や高度に精製された絵具といった現代の技術環境を背景としており、肉眼の限界を超えたミクロ単位の緻密さと完璧な対称性を実現しています。対して約百年前の環境下にあった秋渓の時代は、拡大鏡などの補助器具は存在せず、天然の獣毛を削り出した筆と自然由来の顔料のみを頼りに、作家の純粋な視力と集中力だけで描き上げる必要がありました。
この環境の差により、秋渓の描線には現代的な均一さとは異なる、呼吸のような揺らぎや力強いリズムが宿っています。線の細さそのものは現代の道具による極限値に譲るものの、下描きなしで一気に描き進めることで生まれる勢いと、限られた道具で密度を表現しようとする凄みは、当時の職人が到達した最高水準の身体的技量を象徴しています。山本芳岳が現代の精密美の極致を示すものであるならば、谷秋渓の本作は、道具に頼らず己の五感のみで土と対峙した時代の、純粋な職人魂が凝縮された歴史的遺産と言えます。ウィスキーを注ぐことで、その黄金色の液体越しに揺らめく赤絵の龍は、現代の完成された美とは一線を画す、百年前の熱量を今に伝えています。
- 作者:谷 秋渓(たに しゅうけい、1888-1959、本名:谷 政記)
- 作者の代表的な活動歴:1888年(明治21年)石川県大聖寺に生まれる。明治九谷の赤絵細描を中興した巨匠・竹内吟秋、およびその三男である広沢芦秋に師事し、極細の描き込みを特徴とする赤絵細描の正統な技法を修得。山代にて陶画業を営み、特に龍や鳳凰の図案において、下描きを一切介さずに緻密な紋様を直接描き上げる卓越した筆致で知られた。明治から昭和へと移り変わる激動の時代において、職人による超絶技巧としての赤絵細描を継承し続けた孤高の名工である。
- 作品収蔵:石川県加賀市内の公立美術館、九谷焼関係の資料館、他
- 制作年代:1926年(昭和元年)〜1945年(昭和20年)頃(推定)
- 状態:非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品:専用木箱
- 材質:陶磁器(九谷焼・赤絵細描・金彩)
- 寸法:口径 約 5.5 cm、高さ 約 3.5 cm
- 注意:当店が提供する商品は新品未使用であっても生産時期が大変古いものであり、すべて中古品として掲載しています。商品には経年によるダメージがある場合がありますので、ご理解及びご確認の上で購入をご検討ください。
受取状況を読み込めませんでした
低在庫:残り1個
詳細を表示する
