坂田 甚内(Jin)作 手吹き硝子 赤金彩 金箔 金彩 玻璃盃深甚紋 ワイングラス 2点セット #232
坂田 甚内(Jin)作 手吹き硝子 赤金彩 金箔 金彩 玻璃盃深甚紋 ワイングラス 2点セット #232
益子を拠点に陶芸の枠を超えた独創的な表現を追求し続ける巨匠、坂田甚内(さかた じんんない、1943~)氏による、極めて希少な大振りのワイングラス2点セットをご紹介いたします。本作は坂田氏が1990年代に精力的に取り組んだ「陶とガラスの融合」というテーマが、その造形美と超絶技巧によって見事に結実した傑作です。
本作の最も驚くべき特徴は、視線を奪う鮮やかな赤いステムの構造にあります。これは単なる赤いガラスの塊ではなく、極細の赤いガラス棒を幾本も束ねてねじりながら成形する、ベネチアン・グラスの伝統技法であるフィリグラーナに近い高度な技術が用いられています。この無数の線の集積によるテクスチャーは、坂田氏が自身の黒陶作品において確立した、力強いリズムを持つ深甚紋をガラスという素材で表現したものです。光を受けることで赤い線が幾重にも交差し、単一の色彩では不可能な複雑で奥深い輝きを放ちます。
対照的に、透明なボウル部分には美しいひび割れが全体に広がるアイス・グラス技法が施されています。熱い状態の吹きガラスを一瞬冷水に浸して表面に細かな亀裂を入れた後、再び加熱して成形するというこの技法は、氷のような独特の質感を生み出します。この偶然性がもたらすテクスチャーが、ランダムに配置された金箔、すなわち箔葉玻璃の輝きを乱反射させ、酒を注ぐことで光が幻想的なプリズムとなって現れます。
また、高さ約21センチ、口径約12センチという圧倒的なスケール感は、手吹きガラスのワイングラスとしては異例の大きさです。この規模の作品を、ひび割れや歪みを完璧に制御しながら端正なシンメトリーで焼き上げるには、熟練した火の掌握と重力との対話が不可欠であり、まさに作家の卓越した技術力が証明されています。二客のうち一点のみに刻まれたJinおよび坂田甚内の自筆サインは、この二つが一組の作品として完結していることを示す、作家の矜持の証と言えるでしょう。
坂田氏は、伝説的な陶芸家である加守田章二氏に師事した正統な陶芸を出発点としながらも、そこへガラスや金彩といった異素材を大胆に持ち込み、現代美術としての工芸を確立しました。特に1990年代のガラス作品は、その後の伊勢神宮や出雲大社への奉納作品へと繋がる重要な過渡期の記録でもあります。陶芸家が手がけるガラス作品には、専業の作家にはない土着的な力強さと装飾的な美しさが同居しており、市場における現存数は極めて限られています。日常のひとときを華やかに彩るだけでなく、日本の現代工芸史の断片を所有する喜びを感じさせてくれる至高のアートピースです。
- 作家:坂田 甚内(1943~現在)
- 作家の代表的な活動歴:[2009年] 第一回 上海国際陶磁生活芸術博覧会の招待作家、[2013年] 出雲大社平成の大遷宮に深甚文箔葉玻璃勾玉大皿「生命の輝き」を奉納、[2013年] 伊勢神宮式年遷宮に合わせて黒陶深甚文箔押大皿「太陽へのオマージュ」を奉納、[2014年] 熱田神宮に深甚文箔玻璃オブジェ「倭安寧」を奉納、[2014年] 亀岡八幡宮(益子町)に黒陶刻印文箔押陶筥一対「長寿」を奉納。
- 制作年代:1990年代(推定)
- 状態:非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品:なし
- 材質:硝子、金箔
- 寸法:高さ 約 21cm、口径約 12cm
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