岩田 久利 晩年作 手吹 金彩 赤ガラス「三祝の盃」#25
岩田 久利 晩年作 手吹 金彩 赤ガラス「三祝の盃」#25
日本の現代ガラス工芸を世界水準へと押し上げ、単なる実用の道具から純粋な芸術へと昇華させた不世出の巨匠、岩田久利(1925–1994)。本作は、彼がこの世を去るわずか一年ほど前、その芸術家としての円熟が極みに達した晩年に制作された、極めて私的で慈愛に満ちた一点物の逸品です。
この盃が放つ圧倒的な存在感の背景には、ある特定の方の「白寿(99歳)」「金婚式(結婚50周年)」「喜寿(77歳)」という、一生に一度訪れるかどうかの三つの慶事が重なった奇跡的な瞬間を祝うという、特別な物語が隠されています。久利氏はこの三つの「寿」を表現するために、白寿を象徴する清廉な「白」、金婚式の半世紀にわたる絆を物語る贅沢な「金」、そして喜寿の生命の躍動を伝える「赤」の三色を特別にデザインし、和の文化と歴史をこの小さな器の中に封じ込めました。
岩田久利氏の作品が世界的に評価されている理由は、卓越した色彩感覚と、型を使わずに空中で成形する「宙吹き(そらふき)」によって引き出される、素材そのものの生命力にあります。本作においても、細かい金彩粒子と斜めに走る赤の流線模様が織りなす表情は、まるで火炎や情熱を閉じ込めたかのような迫力を持ち、底部に向かって美しくすぼまるフォルムは、手にした時に驚くほどしっくりと馴染みます。
日本ガラス工芸協会の初代会長を務め、日展文部大臣賞や日本芸術院賞を受賞するなど、戦後日本の工芸界の頂点に君臨した久利氏の遺作は、もはや新たな供給が絶たれた現在、手に入れること自体が困難な文化遺産と言えます。自筆の署名と落款が刻まれた共箱と共に大切に受け継がれてきたこの盃は、巨匠が最期まで追求した「日本らしい美」の結晶であり、特別な場面での酒器として、あるいは一生を共にするコレクションとして、唯一無二の存在感を放ち続けます。
制作元である岩田久利工房による本物の手吹き硝子の質感、そして直径約5.8cm、高さ約9.4cmという絶妙なサイズ感に宿る巨匠の「呼吸」を、ぜひお手元で直接感じ取ってください。
- 制作元:岩田久利工房
- 作者:岩田 久利
- 作者の代表的な活動歴:[1976年]日展文部大臣賞受賞、[1982年]日本芸術院賞受賞
- 作品収蔵:東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、北海道立近代美術館、日本芸術院、ニューヨーク・メトロポリタン美術館、ニューヨーク・コーニング美術館、デュッセルドルフ美術館、パリ装飾美術館、など
- 制作年代:1992年~1993年頃(推定)
- 状態:非常に良い(欠けなし、割れなし)
- 付属品:専用箱あり
- 材質:手吹き硝子
- 寸法:直径5.8(口径5.0) 高さ9.4cm
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