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文部大臣賞受賞 ボストン美術館永久収蔵作家 叶 光夫 代表作 玻璃釉墨焼 花器 花鉢 大皿 #290

文部大臣賞受賞 ボストン美術館永久収蔵作家 叶 光夫 代表作 玻璃釉墨焼 花器 花鉢 大皿 #290

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近代日本の陶芸史において、科学的分析に基づく釉薬研究の最高峰に君臨しながらも、生涯にわずか6回しか個展を開催しなかった幻の大巨匠、叶光夫(1903年-1970年)による最高峰の技法と意匠が施された、幅約50.5cmに及ぶ圧倒的なスケールを誇る特大の長方花鉢です。清水焼の名門である叶家に生を受け、京都陶磁器試験所を修了した叶光夫は、日本の科学的陶芸の先駆者として高名な小森忍に師事しました。その後、1920年に大連の中国陶瓷研究所へ入所し、中国古陶磁の釉薬や焼成のメカニズムを徹底的に究明しました。1943年には満州国嘱託として官窯設営地の選定を任されるなど、その圧倒的な知識と驚異的な技術力は、戦後すぐに日本の美術界を震撼させることとなります。1949年の日展特選受賞を皮切りに、文部省買上による京都国立近代美術館への収蔵、現代陶器巴里展でのパロリス美術館買上、イタリアのファエンツァ博物館への寄贈、さらにはアメリカのボストン美術館やブラジルのサンパウロ美術館、日本芸術院による買上など、世界各国の権威ある美術館や国家機関にその作品が永久所蔵されました。1967年には日展で文部大臣賞を受賞し、1968年には日展評議員に就任、端正な造形精神が高く評価され、1969年の新宮殿造営に際しては白瓷花瓶を謹作して皇室に納めるという、比類なき栄誉と足跡を遺した名工です。

叶光夫の作陶哲学の根底にあるのは、徹底的な科学的裏付けに基づく東洋の伝統の近代アップデートと、器という制約のなかで土と釉薬の可能性を極限まで引き出す用の美の追求でした。この圧倒的な用の美の精神と完璧な技術力は、実の甥であり直接の弟子となった走泥社の創設メンバー、叶哲夫(二代叶松谷)の人生をも大きく変えることになります。八木一夫らを中心として実用性を完全に排除した純粋立体オブジェの確立へと突き進んでいた初期の走泥社において、叶哲夫は師である叶光夫が血のにじむような研究の果てに築き上げた用の美の極致を自らの代で捨て去ることに深い精神的葛藤を抱き、結果として1951年頃という最初期の段階でグループを離脱し、伝統とモダンが融合した実用器の正統な継承へと舵を切ることとなりました。また、叶光夫のグローバルで卓越したモダンな美意識は、高名な建築家アントニン・レイモンドの夫人であり高名なデザイナーでもあるノエミ・レイモンド氏の依頼によって最先端の洋食器類を数多く手掛けたことにも現れており、単なる古典の再現に留まらない、現代の生活空間に調和する普遍的なモダニズムを体現していました。

本作は、叶光夫が到達した装飾美と独自の釉薬理論が極限まで同期した、博物館級の長方大鉢です。作品の内側を覗き込むと、そこには「墨焼」の真髄である、黒と白のシャープなコントラストによって描き出された、流動的かつ幾何学的な同心円状の波紋(渦巻文様)が大胆に広がっています。この文様は、中心の極小の円から外縁に向かって規則正しく、かつ有機的な揺らぎを持って放射されており、日本の禅寺に見られる枯山水の砂紋や、水面に広がる静謐な波紋を想起させる驚異的なグラフィックセンスを見せています。さらに、このモノトーンの世界を覆うように、南郷長石と無鉛白玉の精密な調合比率から導き出された独自のガラス釉(玻璃釉)が極めて厚く融け回っており、器の全面に宝石のように微細でびっしりとした氷裂の貫入(ひょうれつかんにゅう)の層を形成しています。光が差し込む角度によって、この透明なガラス層の深部から万華鏡のような乱反射が放たれ、平面的な器の中に計り知れない三次元的な奥行きと、吸い込まれるような精神性を与えています。これに対して器の縁から外壁にかけては、重厚で温かみのある黄土色から深い飴色にいたる鉄釉(灰釉)のグラデーションが均一に掛けられており、内側の冷徹なモノトーンの世界観との間に鮮烈な色彩的・視覚的コントラストを生み出し、作品全体の造形美を力強く引き締める最高峰のフレームとなっています。

さらに本作の美術的価値を決定づけているのが、器の底面、高台をあえて設けない平らな素地に施された直筆サインの存在です。完全にフラットに削り出された平底の中央には、迷いのない流麗かつ達者な筆致による「光夫」の描き銘が、鉄あるいはコバルトの黒い顔料によって鮮明に記されています。通常の見えない細部に至るまで自らの芸術的シグネチャーを完璧にコントロールしようとした叶光夫の妥協なきこだわりが、この一箇所のサインに凝縮されており、本作がまぎれもない直筆真作のマスターピースであることを雄弁に物語っています。描き銘の周囲に露出した土見せ(素地)からは、清水焼の名門が厳選した、きめ細かくも焼き締まりの良い、わずかに赤みを帯びた上質な陶土の質感が克明に現れており、この土の素朴な味わいと、表面を覆う洗練された玻璃釉の対比もまた見事です。本作品の製作年代は、彼が独自の玻璃釉の技術を確立し、日展の審査員や文部大臣賞を受賞するなど、その圧倒的な技術力が黄金期を迎えた昭和中期(1942年〜1970年頃)の円熟期に論理的に特定され、戦中・戦後の激動期を越え、巨匠の手によって直接生み出された真作であるという歴史的背景が、その価値をより一層確固たるものにしています。

当店では、この前衛陶芸史の源流に位置する巨匠が遺した堂々たる特大鉢を、現代の洗練されたテーブルコーディネートにおける特別な演出として、豊かな実用性を愉しむためのジャパニーズコウゲイの最高峰の酒器としてご提案いたします。本来の高雅な室内を演出する大振りの花器としてその造形美を堪能していただくのはもちろんのこと、極上の古酒ウイスキーやヴィンテージワイン、シャンパンを嗜む際に、氷をたっぷりと敷き詰めて複数のボトルをディスプレイする特大のアイスプラッター、あるいは贅沢なワインクーラーとして空間に配すれば、内側の美しい玻璃釉の氷裂と墨焼の波紋が、氷や結露の水滴と美しく共鳴し、息をのむほどに贅沢なエグゼクティブな時間を創り出します。世界の一流美術館がその高い技術力を絶賛し永久所蔵した叶光夫の用の美の神髄を、日々の暮らしのなかで直接手にとって贅沢に体感していただける、国内外を探しても二度と出会うことのできない至高の一点物です。

  • 作者: 叶光夫(かのうみつお、1903年-1970年)
  • 作者の代表的な活動歴: [1920年] 大連 of 中国陶瓷研究所に入所し中国古陶磁研究に従事、[1943年] 満州国嘱託として官窯設営地選定のため渡満、[1946年] 日本美術展初出品、[1949年] 日本美術展特選受賞、[1953年] 日本美術展北斗賞受賞、[1957年] 日本美術展審査員就任、[1958年] 社団法人日展会員就任、[1967年] 日展審査員および文部大臣賞受賞、[1968年] 日展評議員就任、[1969年] 新宮殿造営に際し白瓷花瓶謹作 作品収蔵実績: 京都国立近代美術館、ボストン美術館(アメリカ)、サンパウロ美術館(ブラジル)、日本芸術院、パロリス美術館(フランス)、ファエンツァ博物館(イタリア)
  • 製作年代: 1947年頃(昭和中期)
  • 商品状: 訳アリ(外側の縁1か所に欠けあり、ヒビや割れなし、経年による軽微な擦れや窯傷あり)
  • 付属品: 専用共箱 
  • 材質: 陶器(玻璃釉・墨焼・釉彩)
  • 寸法: 高さ 約 9.0 cm、幅(長辺) 約 50.5 cm
  • 注意: 当店が提供する商品は新品未使用であっても生産時期が大変古いものであり、すべて中古品として掲載しています。商品には経年によるダメージがある場合がありますので、ご理解及びご確認の上で購入をご検討ください。

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